上橋菜穂子 『精霊の守り人』
2007-12-08 Sat 20:31
精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2) 精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2)
上橋 菜穂子 (2007/03)
新潮社

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NHKでアニメ化されて初めて知った作品です。
新潮社から文庫で出ていたので手に取ってみました。

老練な女傭兵バルサは、ふとしたきっかけで新ヨゴ皇国第二皇子チャグムの護衛を引きうける羽目となる。
チャグムは精霊の卵を産み付けられた為に父帝から疎まれ、暗殺されかかっていた。
バルサはチャグムを皇国の放つ刺客から守りながら、精霊の卵とは――という建国神話の秘密へも迫ることとなる。
――といった筋書きです。

元々が児童文学というジャンルで発表されたので、文章が平易で読み進めやすいです。
(※文庫化にあたりほんの少し改訂したり平仮名を漢字に変換してはあるようです。)
こんなに短時間で読破できた文庫本は久々です。多分正味の所要時間2〜3時間ってところ。

著者が文化人類学者であることもあり、神話(伝承)に重きを置いたストーリー展開になります。
<精霊の守り人>の使命、ラルンガ<卵食い>の襲撃の危険とその撃退法、そして皇国の建国神話および先住民ヤクー人の伝承との重複や食い違い。
神話は作られる――というのは実によくあることだと思っているので、その辺りに新鮮さは感じませんでしたけど、物語と上手く噛み合っているな、とは思いました。
(イシュタル=アスタロトなんて、異文化侵略に伴う神格改変の典型的例ですし。)
むしろバルサとチャグムが最後にはお互い別れを辛く感じるまでに親密になる、その心理変化に関する描写がもう少し欲しかった。
一年に満たない時間、全く新しい生活に放り込まれた二人が、タンダも含めて三人擬似家族として暮らした間に絆が出来た――というのでもまぁ分かりますが、もう少しエピソードを混ぜてくれたらもっとスムーズに納得できたかと。
今のままだと一段飛ばしで階段登ってるような感じなんで。

児童文学というジャンルに収めるには勿体無い、大人も楽しめる良質なファンタジーです。
絶賛はしませんが、興味を覚えた方は手に取ってみることをお勧めします。

その他、感想箇条書
・ バルサ、タンダ、チャグムで擬似家族状態になるけど、お父さん役とお母さん役が逆転してる気がする。
・ チャグムが年齢の割に大人過ぎ。大人しいでなくて、大人過ぎ。自分の足元が崩れたのに特に反抗もせず大人しくバルサに従うな…と思いました。
・ ジグロがカッコよ過ぎだろ。
・ 「人生を勘定するのは、やめようぜ」って、児童文学に出てくるセリフじゃないと思う(笑)。
・ タンダもな…穿った見方をすると、バルサに都合良い存在に転落しそうでな…。
・ バルサが故国へ向った以降の話も気になるけど、何となく続巻に手を伸ばす意慾が湧かない。気が向いた頃に読んでみます。
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この記事のコメント
TBさせていただきました。
評判どおりで、すごくよかったです。
東洋的な身近に感じられる世界感で、物語にのめり込みやすかったです。
2007-12-29 Sat 10:41 | URL | タウム #-[ 内容変更]
初めまして
>タウム様
コメント有難う御座います。
ところで、TBされていらっしゃらないようですが…。
もしご希望でしたら、(読後レビューに限りですが)ご自由にTBなさって下さい。
2007-12-29 Sat 20:49 | URL | リュウ #-[ 内容変更]
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