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辻惟雄 『奇想の系譜 又兵衛―国芳』

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奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)
(2004/09/09)
辻 惟雄

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個人的に非常に印象深い本の一冊。
何故かと言うと、大学の卒論のベース文献だったから。
会社のロビーショップでこの文庫をみかけて初めて、文庫落ちしていることを知りました。
私が卒論書いていた頃はハードカバーだったのに…。

で、購入したものの母へ貸したらそのまま帰ってこなくなり、
うっかり積ん読であることすら失念してしまった一冊でもあります。
その後、親の部屋で発見して無事回収。読了となりました。

卒論ベース文献といいつつ今頃読了ってどういうことかと申しますと、
この本は岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長澤蘆雪、歌川国芳の
六人の絵師を取り上げているものの、私のテーマは曾我蕭白だったので
当時は他の五人に関しては全く読んでいなかったのでした。
今思えばそうそう読了に時間がかかる本でもないのだから全編読んでおけばよかったと思います…。
これぞ若気の至りってやつですかね…(違う)。

この本が最初に刊行されたのは1968年。
今から約30年前です。
辻先生もまだ30代後半(!)だったそうです。わ、若…。
今でこそ若冲展や蕭白展が国立博物館で開催されるものの、
この本が刊行された頃は、「は? それは何者?」という知名度の絵師ばかり六人。
そういう意味では、正しくこれらの絵師はこの本によって≪発掘≫されたと言って過言ではないでしょう。
私が卒論資料を探していた頃ですら、大体入口レベルの本は「若冲・蕭白」とか、他の時代の近い絵師と一纏めにされていたもんです。

面白いのは、これらの絵師は存命当時、皆高い評価を得て工房を構え弟子を抱えていたことです。
それが幕末を経て西洋文明が流入し近代を邁進する途中で評価が下落します。
(そして研究する人が減り、ますます作品は忘れ去られていく悪循環。)
そして日本での評価が低い間に、外国の東洋美術コレクターに買われて多くの作品が国外に流出しました。
まあ日本で粗末に扱われるより、外国で大事に保存してもらった方が作品のためにはいいんですが、やはり外国にあると展示の機会も減りますので、その辺りはプラマイゼロでしょうか…。
(プライスさんなんて良い人だよな…。
積極的に里帰りに出してくれるし、まだ若冲の知名度が低い頃は、売れ残った展覧会図録を大量に買いとってくれたりしていたようです。)

この本が出るまでは、近世絵画といえば、幕府御用絵師となった狩野派や土佐派。
そして在野では円山応挙が出て、文人画の池大雅が出て…といった面のみクローズアップされてました。
でもその他にもこんな個性的な絵師たちが人気を博していたんだ、ということを分かりやすく、そして読み物として面白く解説されたのがこの著書の凄いところです。
何気にディスクリプションも分かりやすいんですよね…。形容が多いのに分かりやすい。
あと色々な文献をひもといて、各絵師のキャラクターも推し量っているあたりも面白いです。蘆雪の究極に厭な奴っぷりには唖然としましたよ…。

大半の図版がモノクロなので、色彩に特徴のある作品は少し分かりづらいかも…。
でも「美術史って苦手~」とか「水墨画って全部同じに見える」とかいう人でもこの本は面白いと思います。
なんせ紹介されてる作品がどれもこれもエキセントリックなので。

あ、蕭白の作品は、カバーの『雲龍図』から推し量ってください。
よく「どうして蕭白好きなの?」と訊かれるくらい個性的ですよ~。

収録されてる図版の内、実は最後に掲載されている『国芳画塾の情景』が一番好きでした。ちくしょう、国芳に惚れそうだぜ。
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