辻村深月 『ぼくのメジャースプーン』
2008-06-26 Thu 21:45
ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)
(2006/04/07)
辻村 深月

商品詳細を見る

何かを探してアマゾンで検索していた時、類似商品として辻村深月氏の著作をお勧めされました。
その内、レビュー評価の高い本作品に挑戦。
私にとって、初辻村本です。

主人公は小学四年生の「ぼく」。「ぼく」の学校ではうさぎを生徒持ちまわり担当制で飼っている。特に「ぼく」の仲良しのふみちゃんはうさぎが大好きで、他の生徒が面倒見忘れてもフォローするしっかり者。
そんなある日、医大生・市川雄太が小学校のうさぎを嬲り殺しにし、その画像をネットに掲載するという事件が起こる。
事件の第一発見者となったふみちゃんはショックから強度のPTSDに陥り、学校に登校できない状態になってしまう。
そんな事件の経過の中で、「ぼく」は自身に備わる不思議な力を使って、犯人・市川へ罰を与えようと考える。
助けられなかったふみちゃんに報いるためにも―――といった出だしです。

いわゆる特殊能力を前面に押し出した話なんですけど、何故か私は読み出しても暫く、「これはタイムリープ物なんだ」と思い込んでました。何故なんだぜ…自分でも不思議。
(事件が起きないように、タイムリープ能力を使って何度も過去を修正するとか、そういう話だとばかり…。)
実際のストーリーは全く違い、動物虐殺という事件を起こしたにもかかわらず、犯人の処罰が執行猶予で落ちついてしまうことに対して、全く納得のいかない「ぼく」が自身に潜む『条件ゲーム提示能力』を使い如何に犯人を罰するか、ということを先輩能力者と話し合う流れです。
(『条件ゲーム提示能力』とは、対象者を「Aをしろ、さもないとBという目にあうぞ」と脅迫し、それを実行させる呪縛系の能力です。この能力の法則についても、先輩能力者・秋山教授が「ぼく」に教えるというスタイルを取って序盤に丁寧に解説されています。)
「ぼく」とふみちゃんの関係を示すため導入こそ小学校の生活が描写されますが、話の大半は秋山と「ぼく」の、『罪を犯した者に如何に反省を促し、そして相応しい罰とはどのようなものか』という問答になります。
しかし説教臭くなったりしないのは、秋山がかなり過激なことを言ったり(そしてそれが「ぼく」の反面教師になる)、「復讐」について色々な角度から検証したり、「ぼく」が一生懸命頭を回転させて自分の求める答えを模索しているためでしょう。
主人公「ぼく」が小学四年生にしては理解能力や思考力がありすぎる気もしたんですが…まあこれくらいは許容範囲かもしれません。

よくよく考えると、この『条件ゲーム提示能力』ってとんでもなく恐ろしい力です。
お母さんが「ぼく」にこの力を使わせまいとするのは、よくわかる。

落とし所は、「ぼく」が決めた犯人・市川への罰――この一点です。
異色ミステリとしてお勧めします。
別窓 | | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<オノ・ナツメ 『Tesoro オノ・ナツメ初期短編集』 | お買い物記録と感想集 | 茶屋町勝呂 原作:Nitro+CHiRAL 『咎狗の血』1巻〜>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
| お買い物記録と感想集 |